そもそもの開発のきっかけ – 日本市場の不便さ
実は、このゲームの原型である「ゴブレット・ゴブラーズ(Gobblet Gobblers)」は、世界中で愛される戦略ボードゲームです。私も大好きで、スマホアプリで遊びたかったのですが…
日本のアプリ市場には大きな問題がありました:
- 海外との権利関係で有料版が存在しない
- 日本のApp Storeには無料版しかない
- 有料版で遊ぶにはiPhoneのリージョン設定を海外に変更する必要がある
- これは一般ユーザーには非常にハードルが高い
- AIが弱すぎて物足りない
- 日本版アプリのAIは初級レベルのみ
- 戦略ゲームとしての醍醐味が味わえない
- すぐに飽きてしまう
- 二人対戦機能がない
- オフラインでの対人戦ができない
- 社内レクリエーションに使えない
- 家族や友人と楽しめない
「だったら、自分で作ってしまえばいい」
この単純な発想が、結果的に組織変革ツールの開発につながりました。
投資対効果が見込める3つのビジネスメリット
1. 社内コミュニケーションツールとして活用
休憩時間や懇親会での話題づくりに最適。「昨日AIに勝った?」「二人対戦しようよ」といった自然な会話が生まれ、部署間の壁を越えた交流が促進されます。外部のチームビルディング研修(1回30万円)の代替として機能。
2. サイト滞在時間が平均3.5倍に向上
実際にゲームを設置したページの平均滞在時間は12分以上。通常のブログ記事の3.5倍の数値を記録。**二人対戦モードがあることで、リピート率も大幅向上。**SEO効果も期待でき、検索順位の向上につながります。
3. 採用活動での差別化
「うちの会社、市販アプリの不便さを解決するために、オリジナルゲーム作っちゃったんです」この一言で、採用面接での学生の反応が劇的に変化。問題解決力とテクノロジー活用力を同時にアピールできます。会社説明会でのアイスブレイクにも活用可能。
実際の開発プロセス – Claude Opus 4.1の活用法
ステップ1:ゲームルールの調査と理解(30分)
私:「ゴブレット・ゴブラーズというゲームのルールを調べて」
Claude:[詳細なルール説明と戦略ポイントを提示]
最初は既存のゲームルールを理解することから始めました。Claudeは瞬時に詳細な情報を整理して提供してくれます。
ステップ2:WordPressプラグイン化の要件定義(20分)
私:「このゲームをWordPressのプラグインで作って。
コマの色は青と緑の二色、3Dで。
一人で遊ぶのと二人で遊ぶのと両方できるの。」
ここでのポイントは、技術的な詳細を知らなくても大丈夫ということ。自然な日本語で要望を伝えるだけで、Claudeが技術仕様に落とし込んでくれます。
ステップ3:AI機能の実装(40分)
私:「ショートコードで3つと劇つよ、スコアやランキングも」
Claude:[最強レベルのAIアルゴリズムを実装]
なんと、Minimax with Alpha-Beta pruningという本格的なAIアルゴリズムまで実装。プロの開発者でも数日かかる作業でした。
ステップ4:ブランディング対応(10分)
私:「Gobblet GobblersをGozigen Gokigenzにすべて変えて
青 #2f4169、緑 #20bf6bに変更
五次元経営のロゴをデザインして」
自社のブランドカラーやロゴを反映させることで、完全オリジナルのゲームに。
ステップ5:Claude Codeでのデバッグ(半日)
ここが一番重要でした!
最初の3時間は地獄でした。なぜかというと:
- Claude Codeでコード修正
- WordPressにプラグインをアップロード
- 有効化してエラー確認
- エラーが出たらプラグイン削除
- また1に戻る…
この**「プラグインインストール→削除→修正→またインストール」の無限ループ**を3時間も繰り返していました。WordPressの管理画面とClaude Codeを行ったり来たり。正直、心が折れそうになりました。
しかし、Claude Codeの正しい使い方を発見してから劇的に改善:
私:「テストページを開いて」
Claude Code:[ブラウザでテストページを表示]
私:「このページで実際にプレイしながらデバッグして」
これだけで、WordPressにインストールしなくても動作確認できる!
つまり、最初の3時間の「プラグインインストール地獄」は完全に不要だったんです…
重要な発見:
- Claude Code は必ずOpus 4.1を使うこと(他のモデルだとゲームが壊れる)
- テストページで実際にプレイしながらデバッグすると効率10倍
- WordPressへのインストールは最後の1回だけでOK
ステップ6:Claude Codeの制限と対処法(これ知らないと詰む)
開発中に出会う2つの壁があります:
1. Context制限のメッセージ
長時間開発していると突然:
「Context left until auto-compact: 1%」
Claude Codeが動かなくなります。
2. Opus制限のメッセージ
さらに厄介なのがこれ:
「Claude Opus limit reached, now using Sonnet 4」
**これが出たら絶対にそのまま続けてはダメ!**Sonnetだとゲームが壊れます。
どちらの場合も解決方法は同じ:
- 引継書を作ってもらう(重要!)
私:「引継書(HANDOVER_DOCUMENT.md)を作成して」 Claude Code:[プロジェクトの全情報をまとめた引継書を作成]
- コマンドプロンプトを再起動
- 今のコマンドプロンプトを閉じる
- 新しくコマンドプロンプトを立ち上げる
- Claude Codeを新規で起動(Opus 4.1が復活!)
- 引継書を読み込んで作業再開
私:「HANDOVER_DOCUMENT.mdを読んで、続きから開発して」 Claude Code:[前回の状態を理解して作業継続]
引継書に含まれる内容:
- 現在のファイル構成
- 実装済み機能のリスト
- 未解決の問題点
- 使用している技術仕様
- テスト方法
この手順を知らないと、Sonnetで開発を続けてゲームが壊れるか、せっかくの開発が水の泡になります。
この方法を知るまでの3時間は本当に無駄でした…でも、知ってからの3時間で完璧に動作するゲームが完成!
合計時間:約半日(効率的な方法を知っていれば2-3時間で可能)
驚きの費用対効果 – 失敗も含めた現実
開発にかかった実際の時間と費用
項目 | 理想 | 現実 | 学び |
---|---|---|---|
開発時間 | 2-3時間 | 半日(6時間) | Claude Codeの使い方次第 |
デバッグ方法 | テストページで確認 | 最初3時間は地獄の繰り返し | テストページ開いてが魔法の言葉 |
使用モデル | Claude | Opus 4.1必須 | 他のモデルだとゲーム崩壊 |
開発費用 | 3万円 | 3万円(変わらず) | 月額固定なので安心 |
従来の開発との比較
項目 | 従来の外注開発 | 海外有料アプリ購入 | Claude Pro活用 |
---|---|---|---|
開発費用 | 300万円〜 | 600円×社員数 | 3万円(月額) |
機能制限 | なし | 日本では初級AIのみ | 最強AI実装 |
二人対戦 | 〇 | × | 〇 |
カスタマイズ | 〇 | × | 〇 |
開発期間 | 2〜3ヶ月 | 即時(但しリージョン変更必要) | 半日 |
保守費用 | 月5万円〜 | なし | 0円 |
ROI(投資収益率)の現実的な計算
- 投資額:3万円(Claude Pro 月額)+ 半日の時間
- 削減効果:
- 外注開発との差額 = 297万円
- デバッグの学習コスト = プライスレス
- 得られた知見:
- Opus 4.1の重要性を痛感
- テストページでのデバッグという神技を習得
- 今後の開発は2-3時間で可能に
- 実質的なROI:9,900%(99倍)+ 次回からの開発効率10倍
中小企業経営者が今すぐ始められる3つのアクション
1. Claude Proから始める(でもOpus 4.1を忘れずに)
Claude Proは月額20ドル(約3,000円)から利用可能。ただし、本格的な開発にはClaude Code(Opus 4.1)が必須。まずは1ヶ月試してみて、AIとの対話に慣れることから始めましょう。
2. 「テストページを開いて」の魔法と制限対処法
Claude Codeを使う際の必殺技:
あなた:「テストページを開いて」
Claude:[ブラウザでテスト環境を表示]
あなた:「ここで動作確認しながらデバッグして」
これを知らないと:
- WordPressにプラグインインストール
- エラー確認
- プラグイン削除
- 修正してまたインストール…
この地獄の繰り返しで3時間無駄にします(実体験)。
Claude Codeの2つの制限メッセージ対処法:
- 「Context left until auto-compact: 1%」が出たら
- 「Claude Opus limit reached, now using Sonnet 4」が出たら
どちらも対処法は同じ:
- 引継書を作ってもらう(超重要)
- コマンドプロンプトを閉じて再起動
- 新しいClaude Codeで引継書を読み込んで継続
特にSonnetに切り替わったまま続けるとゲームが壊れるので要注意!必ずOpus 4.1に戻してから作業を続けてください。
3. 失敗を恐れず「とりあえず作る」(でも効率的に)
- 最初から完璧を求めない
- でも無駄な時間は使わない
- プラグインの入れ直し地獄は避ける
- テストページで確認してから本番環境へ
知っているか知らないかで、6時間が3時間になり、いずれ1時間になる。この差は大きいです。
なぜ「ゲーム」が組織を変えるのか
エネルギー効率の最適化という視点
組織において最も重要なのは「ごきげん」な状態を作ること。ゲームは以下の3つの次元で組織にポジティブな影響を与えます:
- 三次元(物理的成果):スコア、ランキング、達成率など目に見える成果
- 四次元(感情的つながり):競争と協力を通じたチーム感情の共有
- 五次元(今ここの充実):没入感による「フロー状態」の創出
これらが統合されることで、組織全体のエネルギー効率が最適化され、生産性向上につながります。
経営者からのメッセージ – 不便を機会に変える
「日本のアプリが不便だから、自分で作る」
一見すると単純な動機ですが、これこそが真のDXだと思います。
多くの企業は「DXしなければ」と焦りますが、本質は**「不便を感じたら、テクノロジーで解決する」**という思考の習慣化です。
- iPhoneのリージョン変更? → そんな面倒なことはしたくない
- 弱いAIとしか対戦できない? → 強いAIと戦いたい
- 二人で遊べない? → 社内で盛り上がりたい
これらの「小さな不満」を、AIの力を借りて半日で解決できる時代になりました。
「AIに仕事を奪われる」という恐怖から、「AIと共に不便を解決する」という創造へ。
このパラダイムシフトこそが、これからの中小企業が生き残る鍵となります。
まとめ:次の一手を打つために
今すぐできること
- Claude Proの契約を始める(月額3,000円)
- 社内で「あったらいいな」を3つリストアップ
- 最も簡単そうなものから試作を依頼
3ヶ月後の未来
- 自社オリジナルツールが稼働
- 社員から「面白い会社」と評価される
- 採用応募者が前年比150%増加
1年後の未来
- 業界内で「イノベーティブな企業」として認知
- DXの成功事例として取材依頼
- 売上が前年比120%成長
最後に – AIの進化への期待と現在進行形の挑戦
「Gozigen Gokigenz」の開発を通じて学んだこと。それは、失敗も含めて全てが学びになるということです。
プラグインを入れて、エラーが出て、削除して、また入れて…この地獄のような3時間も、今となっては笑い話です。でも、この経験があったからこそ、「テストページを開いて」という魔法の言葉の価値がわかりました。
実は、このブログを書いている今も、まだデバッグは完全に終わっていません。
さっきもまた
「Claude Opus limit reached, now using Sonnet 4」
が出てしまったので、今日はもう寝ることにしました(笑)。
明日また引継書を読み込んで、コマンドプロンプトを立ち上げ直して、続きをやります。
でも、これがリアルなAI開発の姿なんです。
完璧じゃない。思い通りにいかない。制限もある。
それでも、半日でここまで作れたという事実は変わりません。
Opus 4.1がさらに進化したら、きっともっと早く、もっと簡単に開発できるようになるでしょう。
今は半日かかったけど、次は3時間、その次は1時間…AIの進化と共に、私たちの生産性も指数関数的に向上していくはずです。
「日本のアプリが不便だから、自分で作る」
この単純な動機から始まった開発が、組織を「ごきげん」にし、新しい可能性を開きました。
AIは私たちの敵ではなく、不便を機会に変える最強のパートナーです。
この記事を読んで「うちの不便も解決できるかも」と思った経営者の方、ぜひ一歩踏み出してください。最初は失敗するかもしれません。制限にぶつかって寝ることになるかもしれません。でも、その失敗こそが、次の成功への最短ルートになります。
完成したら、ぜひシェアしますね!
著者プロフィール 望月貴生 / 五次元経営株式会社 代表取締役 「みんな、ごきげん♪そんな会社をあたり前に♪」をミッションに、中小企業のDX支援とエネルギー効率最適化コンサルティングを提供。JAPAN MENSA会員。
開発裏話 このブログを書いている2024年某日深夜、「Claude Opus limit reached, now using Sonnet 4」というメッセージと格闘中。でも、この「リアルな苦労」こそが、皆さんに伝えられる価値ある情報になると信じています。失敗は成功の母、本当にその通りですね。
お問い合わせ この記事の内容について詳しく知りたい方は、[お問い合わせフォーム]からご連絡ください。 実際のゲーム「Gozigen Gokigenz」が完成したら、[こちらのページ]でプレイ可能になる予定です。
*※本記事で紹介した開発は現在進行形です。Claude Codeの制限と戦いながら、明日も開発を続けます。